ひっさびさの記者室更新。
今回も選挙のお話です。
平成13年7月26日実施の参議院議員選挙に「選挙従事者」として参加した「Sさん(仮名)」から、面白い(?)話が聞けたので紹介しようかと思います。
今回の選挙。北海道での投票率は58.47%。
かなり低いですね。
更に、今回は「無効票(票として数えられない票)」の割合が7%ちょっとあるので、実質の有効投票率となると、もう少し下がります。
さて、この「無効票」ですが、今回いつもに比べて格段に多いです。
「選挙区」での投票はそうでもないですが「比例区」の投票が格段に多い。
原因はというと、今年から導入された「非拘束名簿式」という投票の仕方にあります。
この「比拘束名簿式」というのは、投票用紙に「政党名」か「比例区の候補者名」を書いて投票してもらい、その「政党別の得票率に応じて」各政党からの当選者数が決まるのが第1段階。
第2段階として、政党ごとの当選者数が決まったら、その中で「比例区の候補者名」を書いてもらえた票数が多い候補者から順に当選するという形です。
この今年変わったばかりの「ややこしい」方式のため、書き方がわからず何も書かずに投票した「白票」が増え、また「政党名」もしくは「比例区の候補者名」の「どちらか」を書くのに「両方」書いた場合、その「政党名」に「比例区の候補者名」が所属していて、かつ、両方記述があってないと有効票にならない。
つまり、例をあげれば、自民党のA氏という人がいたとして、投票用紙に
「自民党」と書いてあれば有効票
「A氏」と書いてあれば有効票(& A氏の当選順位アップ)
「自民党 A氏」と書いてあれば有効票(& A氏の当選順位アップ)
間違えて「自由党 A氏」と書いてあれば「無効票」
と、いう感じ。
「政党名」もしくは「比例区の候補者名」の「どちらか」を書くのに「二つ書ける」と勘違いしている人も多かったみたいです。
ま、たかが無効票という人もいるかと思いますが、コレ、よく考えると凄いことなんですよ。
「Sさん(仮名)」が選挙従事者として参加した市町村は、投票並びに開票(投票された票数を数えること)共に市町村職員があたっています。
休日なので、当然休日出勤手当がでます。
投票が06:00〜20:00ですので、14時間
開票が21:00〜01:00ですので、4時間
ちなみに開票は、「早く帰れた人」の時間です。
「次の日の昼まで」帰れなかった人もいます。
18時間分の時間外手当が出ます。
ついでに22時以降は深夜勤務手当として、時給単価がアップします。
大学卒の新入職員でも、時間外単価は1時間あたり、1400円前後。
深夜なら1500円前後です。
当然、新入職員だけでやるわけじゃないですから、選挙従事者の平均年齢30才と低めに見積もったとしても、時間外単価1800円前後。深夜なら2000円前後。
なんだかんだで選挙当日だけで、一人あたり平均32,000円の人件費。
「Sさん(仮名)」の市町村の場合、選挙従事者は当日だけで総勢200名以上。
人件費だけで一日640万円かかってます。
それに投票会場、開票会場の会場代や準備等、もろもろの経費をいれれば、最低でも「800万円」
1市町村でこの金額ですから、北海道内の全額ならおおよそ「17億円」。
ま、話半分としても「8億5000万円」
ついでに全国なら「×47都道府県」で「400億弱」
1回の選挙でですよ。
もちろん、札幌市みたいにバイトを雇って人件費を安くしている市町村や、人口が少ないため根本的に選挙従事者の少ない市町村もあるので、かなりおおざっぱな計算です。
「Sさん(仮名)」の市町村は大きなほうなので、その辺を考慮して1/4にしたって「100億」だから相当な金額。
話を道内に戻して、かかった経費「8億5000万円」を「投票率58.47%」で割返すと、得票率1%あたり「1450万円」くらい。
無効票が得票率の7%以上だから、58.47%の7%で「4%」
4%×1450万円=5800万円
つまり、無効票が7%も出たということは、5800万円が無駄になったということ。
全国レベルなら「7億弱」
極論でいってしまえば「非拘束名簿式」を導入したおかげで、これだけの税金が無駄になったということです。
ついでにいうと、今までの比例区の選挙方式だと、開票の際も政党別に票を分けるだけなので、分類数もせいぜい10〜20程度。
ところが今回、政党別に加えて比例区の候補者別に選別しなければならないので、分類数おおよそ「220種類弱」
基本的に全部、手で分類します。
当然、異様に時間がかかる上に、「非拘束名簿式」なので、政党別の当選者数が決まっても、その中で誰が当選したか調べなきゃならない。(政党内の当選順位は、候補者名で記入された票数で決まるため)
つまり全票開票しないと下位の当選確実が判明しない。
(いままでは名簿の上から順なのでわかりやすかった)
などなど、悪いことだらけ。(ホントはもっとある)
かんべんしてくれ。
と、「Sさん(仮名)」へのインタビューでした。
まだまだ文句があるようなので、ひょっとしたら続くかも?